Remember

あの日も霙まじりの雪の夜。

借りたバイク ZGP400を自宅から走らせた ほんの数百メートル。スロットルを開け赤信号を越えかけた瞬間に側道から出てきた車と接触。吹き飛ばされ被ってたヘルメットはホームラン、俺自身もホームラン。そこそこの事故でした。

幸い雪の溶けた路面と厚着、ジャッキーチェンの映画で培ったイメージトレーニングのおかげでケガ自体は打撲とすり傷。

ただ、無免許だった俺の行き先は病院じゃなく事故現場からほど近い近所の交番。今は無き懐かしの清水交番。

大きなケガは無いものの事故後で記憶は朧げ。視界がキラキラ眩しかった。事故処理と示談の流れだったかな。その夜は数時間で帰ったと思う。

それから数日後、清水交番前を歩いてる所を不意に呼び止められた。振り返ると事故の時、担当してた年配の警官。面倒だなと思いつつ交番へ入ると「寒いけぇ温かいお茶飲んでけ」と。これがキッカケでした。

穏やかな物腰だけど、話はビシッと筋が通っててね。古い映画に出てきそうな町の警官って雰囲気で。

いつからか交番に立ち寄って、おっちゃんと雑談して帰るのが楽しみになって。ガキの扱いが上手なおっちゃんに知らず知らず懐いてた。

こんな人も居るんだなって。あの頃の小倉の警察はルールなんてなかったもんね。

ある夜、インターホンが鳴り玄関を開けると見知らぬ若い制服の警官。名前を聞くんで、何の件か尋ねると、とりあえず清水交番へ来いと。問答無用の連行には慣れてたし、こういう時はゴネても同じ。

交番へ着くと、うちに来るはずだった友達が二人パクられてた。机を挟んでおっちゃんの姿。

家に居た俺には 流れのすべてがクエスチョンで、おっちゃんに「何で俺が呼ばれるん?」と怪訝に聞くと、初めて見る おっちゃんの剣幕。

「集まるのがお前の家なら、お前がリーダーなんよ。そいつらの面倒見るのはお前の役目ぞ!」「わかったか?」「わかったなら二人を連れて帰れ!」そう言って二人の調書も取らずに帰してくれた。

数日後、勤務中のおっちゃんに会うといつも通りだった。穏やかにからかう様ないつもの口調で「馬鹿する歳なのはわかるけどな」「お前がリーダーなんぞ」「わかったか?」と。

あれから30数年。

清水を引っ越してからも、しばらくして何度か交番を覗いてみたけど おっちゃんの姿はなかった。タイミングだったのか移動だったのかは分からないけど。そのうち交番も取り壊されて駐車場になってた。

この頃、ギネス級の連行数だったけど人情味のある人に逢ったのは、おっちゃんと少年課の堀井さんだけだった。

この先も会う事はないと思いますが、この時の場面は俺の中で大切にしてる事の一つです。

I&I

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投稿者:

INGENIOUS DJ MAKINO

DJ,BEAT MAKER,PRODUCER https://youtu.be/Nrm1_cZEtis